皆さん、こんにちは! 街の屋根やさん 東濃店です。
『出る時の傘に落ちたる菖蒲(しょうぶ)かな』
これは正岡子規が詠んだ俳句ですが、時期は丁度今頃を指しています。
歌に詠まれた風景はこのようなものです。
雨が降っていたので傘をさして表にでたところ、軒に挿してあった菖蒲が引っかかり落ちてきた…
なぜ軒に菖蒲が挿してあったのか?
それは『軒菖蒲(のきしょうぶ)』という、今ではほとんど見かけたくなった端午の節句の行事の一つなのです。
端午の節句は古代中国で月初めの厄払いの行事として始まり、雨季を迎える5月は病気や災厄が増えることから、菖蒲の持つ強い香りが邪気を祓うとされていたため、邪気払いに菖蒲が使用されていました。
それが日本にも伝わり、平安時代の宮中行事として端午の節会となり、さらには鎌倉・江戸といった武家の時代となると、菖蒲と尚武(武事・軍事を尊ぶこと)の音が同じことから男の子の魔除けや出世を願うお祝いをするようになったと言われています。
軒菖蒲とは、菖蒲と蓬を家の軒先に飾ったり、屋根に放り投げるという風習のことです。
先の述べた通り、旧暦の5月は雨期で悪病の流行る時期でもあり、香り高い菖蒲や蓬を家々の軒端に飾ることで邪気を祓う力があるとされ、5月4日の夜に菖蒲と蓬を束ねたものを軒に飾り(投げ上げ)、5月5日を迎え、不浄を祓うという平安時代からみられる風習です。別名、『軒端の菖蒲(のきばのしょうぶ)』、『菖蒲葺き(あやめぶき)』ともいわれます。
子どもの健やかな成長を願って菖蒲湯に入る風習は、今でもよく聞くことがあると思いますが、菖蒲を屋根に挿す風習は今ではほとんど見られません。
屋根がカヤ葺きの時代には、カヤに差し込んでいたのでしょうが、家屋やライフスタイルなどの変化によって、飾ったり、屋根に投げたりすることが難しくなり、その結果だんだんと見られなくなり、こうした風習を知る人も少なくなりました。
しかしながら、軒菖蒲は、日本家屋の屋根に不思議とマッチする景色でもあると思います。
もし見かけることがあったら、古いながらも子どもの健康と成長を大切に見守る素敵な風習だと思い出していただければ嬉しいです。
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